校長挨拶

ユタ日本語補習校は2011年4月、総勢わずか11名の生徒で開校し、今では在校生100名を越える充実したプログラムへと発展しました。それは、多くの方々のご理解と献身的な努力の賜物です。

振りかえってみますと、60年ほど前にアメリカで初めて開校されて以来、世界の様々な地域に広がっていった日本語補習校の役割は、日本の学校で使っている教材を使用し、日本の学校制度に基づいた教育を行うことでした。しかし、それぞれの補習校には異なった文化や環境の中で、僅かな運営資金と、限られた人材の中で、立ち上げ、維持、拡張していかなければなりません。ですから、補習校に係わる教員、運営管理スタッフ、保護者、皆が Comfort Zone を越えてチャレンジに応えています。加えて、近年、日本企業からの駐在員家庭だけではなく、国際結婚家庭も増加し、補習校に対する期待も多様化しています。そのような中、異なる目的とニーズを持った人々が心と力を合わせ、補習校の成長、発展に寄与してこられました。

ところで、補習校の目的は単に日本の学校教育内容を習得させるだけでなく、日本語で日本の学校教育環境を体験することを通して、日本の文化理解に基づいた「礼節」「忍耐」「謙虚さ」「思いやり」「団結」といった、古来より引き継がれている日本の価値観や社会観を学童が身につけ、加速的に国際化、多国籍化、ボーダーレスの状況を呈する21世紀の社会で、広い視野と大きな心を持った「未来の開拓者」を育てる事も補習校の大事な役割です。

学校を創立し成長を続けるという極めてチャレンジの多い営みが可能になった背景には、沢山の人たちが、忙しい中にもいろいろな形で、教務、事務、図書、運営、広報と幅広く協力し支援してくださった歴史があります。試行錯誤を繰り返しながらも、我慢強く、皆で助け合う努力を続けてきたからこそ、今日のユタ補習校の存在があります。これからも、多くの方々が本校を、明るく、楽しく、活気のある学びの場に築く業に加わって下さるよう願っています。さらに、今ある土台の上に、全員が心を合わせて、世界の光(一隅を照らす存在)となる教育を創造できるよう努めてまいりたいと存じます。

ユタ日本語補習校

校長 有泉芳彦